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wordpressの日記( https://yajiriinu.wordpress.com/ )の移植版

ホットな缶

英語のloseには、負けるという意味と失うという意味がある。反対に、winには勝つという意味と得るという意味がある。勝負に出た時点でプラスかマイナスにしかならないという価値観では、リスクを引き受けてリターンを得ようとする態度が戦士の標準的姿とされている。

ここで日本語を考えてみよう。勝という字は、かつともまさるとも読む。winnerはそうでない人たちよりも優れているという考え方は英語とも共通する。しかし負のほうは、まけるという読みとおうという読みがある。「負う」は、英語の「失う」とは正反対に、今まで持っていなかったものを引き受けることを意味している。この引き受けるものとは、英語の戦士のリスクよりも内面的で重いような気がする。負けという結果が出ているぶん、その勝負によって分岐した自分の未来に責任を負うとか、自分より優れている勝者に嫉妬や劣等感といった感情を負うとか、具体的で内省的な内容が想像できる。

今あらゆる場所にいる無数の「負う」者たちに、このコーンスープと大納言しるこの缶を敬意を込めて贈呈したい。あったか〜いだから。あったか〜いとつめた〜いはwinとloseと同様に対義語だが、英語でhotとかcoldとか書いても言い表せない余情があって、それでいて何も得るものも負うものもない。あらゆる場所にホット缶が……