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wordpressの日記( https://yajiriinu.wordpress.com/ )の移植版

トイレ

明治時代に渡米して欧米文化を日本にもたらした新島襄は、初めて便座を自宅に導入した人物らしい。それは、従来の和式の穴を洋式トイレと同じサイズにし、段差を設け、木製の床に直接座って用をたせるようにしたという極めて簡素なものだった。

しかし、この日本で最初の洋式トイレは新島の家族にはたいへん嫌われたらしく、全く普及しなかった。また、水洗も普及していなかったので、結局座ってうんこをすることができる以外のメリットがなかったという。

しかし今や和式の使い方がわからない子どももいるくらい、洋式は普及している。当時、新島の奥さんが地べたに尻をつけるという行為に感じていたような抵抗感が、かえって和式の穴にしゃがむ姿勢に対して感じられるようになっている。

これと似たようなことが、もしかしたら現代の日常になっている道具が生まれる過程でもあったのかもしれない。たとえば火とかは本来危険性のある自然現象を道具として自在に扱うことだから、原始時代において敢えて火をおこすことは最初あまりにも奇抜な行動に見えたことだろう。初めから火の有用性や安全な操作方法を知っていれば、人類の発展はもっと早かったし、ホモサピエンス誕生の前にひと文明できていたかもしれない。

初めから価値がわかるほうが良いというわけでもないが、日本で初めて座ってうんこをした人として名前を覚えられるのは名誉なほうだろう。